コロナ事情

夕食の買い出しに出かけた先で、昨今のコロナの予防についておばあちゃま達が立ち話をしていた言葉が耳に入ってきた。「マスクをして歩くのはしんどいから、家から出ないようにしていると外出が億劫でねえ足腰が弱ってしまってもっと出たくなくなるのよ」「こうやって弱っていくのかねえ」「コロナに感染するよりも家で転んで入院しちゃうほうが先かもね」などと話していた。二人ともマスクはしていたが鼻が出ている。

 粘膜感染大丈夫?と思いながら通り過ぎたという話を、友達と電話で話していたら、友達のお母さんも感染を恐れ外には出ないらしい。近所にある3軒の小さなお店だけ歩いて行っているそうだが、その時マスクはしないでついつい出かけてしまうそうで注意をすると、「うちの町内にコロナはいないから大丈 夫」と答えたそうだ。なかなか予防を年老いた親に教えるのは難しいとのこと。

 トイレットペーパーを買いに薬局に寄ると、おひとり様1パック限りと書いてある。

 娘に「何で?」と尋ねると「知らないの!?ネット情報でマスクと同じ素材だから不足するってデマが流れたせいじゃないの?」そう話しながら通り過ぎたマスクコーナーはガラ空き、消毒関係の棚も在庫がほぼない。「マスクをしないと学校も登校できないの」という話を聞いた知り合いが、孫の為にマスクを買いに小樽にはないので札幌の薬局を転々としていてその間に感染したら心配だという話になり、娘と二人でせっせと布マスクを作りプレゼントすることにした。

 作る前に布は洗い、手洗い、アルコール消毒、布にアイロン、口にはマスク、出来上がったマスクはアイロンで熱を入れ、再度アルコール消毒して開閉 付きの袋で密閉。うちのアルコール消毒液は食品衛生関係の品なので、口に入れても体に害はない。「口に近いものは、触れても安心な消毒液が良いかな」と思う。皮膚科は次亜塩素酸ナトリウムなどの消毒で、手荒れを起こし通っている方が多いそうだ。

 歯科衛生士の職を離れて25年、もう今では化石に近いものであるが、こういう時に少なからず歯科衛生士の仕事についていたことに気づく。手洗いの仕方、マスクの仕方、消毒薬の希釈量、汚染物の処理の仕方など今回予防や人との接触の仕方が連日報道されているが「あっ、知ってる やってる」私にも身 についているものがあった。

 歯科衛生士の職場環境は感染のしやすい環境だが、周りの歯科衛生士に感染者がいないのは日々、通常の業務の中でB型肝炎などウイルス感染の徹底に取り組んでいるからだと感じている。仕事で感染を予防しながら診療や指導にいつも以上に神経を使い、帰宅してからは家庭に持ち込まないよう細心の注意を払いながら日々を送っている皆さまに、心からの敬意と感染しないように祈ることしかできない自分が申し訳なく思い、予防に精を出している。一日でも早くコロナ感染が収束し、マスクを外して笑顔で挨拶を交わせる日を願いながら。